毎年盛り上がるゴルフ会員権課税
税制改正の話題が出始めるこの時期、やはりという感じで「ゴルフ会員権」の損益通算廃止論が浮上してきました。含み損を抱える資産のひとつとしてのゴルフ会員権が大幅に値下がってしまい、せめてもの救いにその損失による節税を!と思っているゴルフ会員権保有者にとっては厳しい状況になりそうです。

税制改正の話題が出始めるこの時期、やはりという感じで「ゴルフ会員権」の損益通算廃止論が浮上してきました。含み損を抱える資産のひとつとしてのゴルフ会員権が大幅に値下がってしまい、せめてもの救いにその損失による節税を!と思っているゴルフ会員権保有者にとっては厳しい状況になりそうです。
今年の5月25日、国税不服審判所が定期的に公表する裁決事例にゴルフ会員権に関する事例が3例も取り上げられていました。内容は、『破産宣告を受けたゴルフ場の会員権の損失』、『預託金請求権を喪失した会員権をゴルフ場経営法人へ返却した場合の損失』、『市場価格下落での評価損計上』の3件。
課税庁が、ゴルフ会員権に関する税務処理について異議を唱えるケースが少なくないという現況が窺えます。また、この3件はいずれも損失が認められない結果となり、
納税者の請求が棄却されています。
政府税制調査会は、6月21日に「個人所得税に関する論点整理」を公表しました。これによると、「譲渡所得は、損益通算による租税回避行為に用いられやすい」としたうえで、「長期譲渡所得への課税制度は不均衡。土地、株式の譲渡所得は既に分離課税制度なのだから、その他の資産の譲渡益についても同様の取り扱いにしては」と、ゴルフ会員権などの資産も申告分離課税を検討していることを明らかにしました。
現在のゴルフ会員権の譲渡所得は総合累進課税の対象となり、他の所得と損益通算できます。売却価格から取得費や仲介手数料などを控除して算出しますが、売却損が出た場合には給与などとの相殺が可能となります。こうして損益通算ができるのは、ゴルフ会員権が「ぜいたく品」に該当していないからです。個人が保有する書画や骨董、貴金属、競走馬などは「生活に通常必要でない資産」であるため、譲渡の際に損失が 発生しても損益通算できません。
以前から財務省では、ゴルフ会員権をぜいたく品とみなすか否かの議論されてきましたが、なんとか現行の取り扱いが維持されてきました。
しかし、ここにきて政府税制調査会では、税率20%などといった突っ込んだ内容まで検討し始めており、早ければ平成18年度税制改正で議論する模様。着実に損益通算廃止へ動いているといえます。
関連業界では、こうした損益通算廃止への動きに大きなショックを受けています。損益通算の廃止が実現すれば、損切りして所得税を軽減できるように売ってしまおうと、駆け込みの売却が増えることが確実です。ゴルフ会員権を投資目的で購入したリッチ層だけでなく、会員権を保有する顧客を持つ税理士の間でも、その後の動きに注目が集まっています。
金融所得課税一体化で、損益通算から除外されたことに胸を撫で下ろしたのもつかの間、ゴルフ会員権を利用した節税対策もターニングポイントを迎えたようです。
笠井良一(笠井良一税理士事務所所長)
年齢:55歳/出身地:山梨県/趣味:音楽鑑賞
笠井良一税理士事務所
住所:福岡市中央区天神2-8-49 福岡富士ビル7階
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