コラム Column
賃貸経営をおこなう上で、物件を所有するオーナーとして、賃借人が退去すると検討が必要になるのが「リフォーム」です。
一方で最近では「リノベーション」という言葉もよく聞かれるようになってきました。リフォームとリノベーションは一体何が違うのでしょうか?
どんな場合にそれぞれおこなったほうがよいのでしょうか? その定義を簡単な事例とともにご紹介します。
リフォームは「マイナスをゼロに戻す機能回復」
リフォームとは、入居した時の状態に戻すことで、いわば「マイナスになったものをゼロに戻す」工事だと言えます。
例えば、賃借人が退去した後、破れたり汚れた壁紙を張り替えたり、襖や畳の表替えをするなど、老朽化したところを修復もしくは改装することなどがそれに当たります。次の賃借人をスムーズに見つけるためにも、なるべく早くリフォーム工事を行うことがポイントです。
ここで気になるのが、どこまで工事をするのかということ。賃借人がきれいに使っていた場合、改装は必要ないのでは?と思うかもしれませんが、次の賃借人が「住みたい!」と思うレベルでリフォーム工事を行うことをおすすめします。ただしクロスの張り替えが必須かどうかなど、地域によって慣習の違いもあるので、オーナーの判断だけで決定せず、管理会社としっかり打ち合わせをしましょう。
リノベーションは「プラスαの機能や価値を生む」
一方リノベーションとは、新しい設備や機能など付加価値をつけることで、「プラスαの価値を付け加える」工事です。
例えば、ダイニングキッチンと隣接する和室をつなげてフローリング張りの広いリビングにするといった間取りの変更や、お風呂のバランス釜をユニットバスにするなど、大規模な改良工事のことをリノベーションと言います。近年ではライフスタイルや生活環境に合わせて住まいをアレンジできるということで人気が高まっています。
建築後15〜20年経つと、設備や間取りはどうしても古い印象となります。しかし、現代的なスタイルに合わせて間取りや内外装を改良したり、空間にデザイン性を加えるなどのリノベーションをおこなうことによって、建物自体は古くても、住宅の資産価値を高めることができます。
リフォームとリノベーションはどちらがおすすめ?
リフォームのメリットは、費用が安く抑えられ、工事期間が短く、短期間で次の賃借人の募集ができることです。デメリットとしては、空間そのものまでは大きく変えられないことが上げられます。
リノベーションは、自由度が高く新しい住環境にできるというメリットがある一方で、工事期間が長くなり、費用もかかる傾向にあります。
築浅の物件はリフォームで十分な場合もありますが、築15〜20年の物件については、大きく2つの方向性で検討する必要があります。
1.賃料を下げるなど募集条件を緩和する
2.リノベーション工事をおこなうことで賃料の下落を抑え、住宅の価値を維持する。工事によっては、賃料アップや入居率向上、空室期間の短縮等を見込める
どう判断するかは、オーナーの考えや資産の状況、建物や室内の状態、賃貸市場などを総合的に考慮する必要があります。ニーズとミスマッチな工事内容をしてしまうと、せっかくリノベーションをおこなっても借主が見つけにくかったり、その後売却を考えていたのに、価格がなかなか上げられなかったなどの結果にならないよう、管理会社と事前に検討しましょう。
まとめ
今回はリフォームとリノベーションの違いについてご紹介しました。リフォームとリノベーションどちらを選ぶかは、目的やオーナーの考えを明確にしておくことが重要です。
「資産の状況は?」「物件の価値を高めたいか?」「賃料を下げても稼働率重視か?」「いつ頃貸したいのか?」「入居ニーズに合った部屋なのか?」など、目的によってかけるべき予算や内容も変わってきます。オーナー自身の希望や好みだけで判断せず、管理会社と話をして、慎重に進めることをおすすめします。