コラム Column
今回は、建物の外壁からの漏水が発生した場合において、オーナーの立場としてどのような対処が必要かについて説明いたします。
修繕義務はオーナーに。速やかに対処することが大切。
大雨などにより屋根や外壁から漏水が起こった際、修繕義務はオーナーに発生します。
まずは、トラブルの箇所・原因を確認することから。そして、水もれの程度に関わらず修繕は速やかに行うことが重要です。
放置してしまうとカビの発生や建物の腐食など、入居者の生活に支障が生じ、退去につながってしまうことも考えられます。そうした事態を避けるためにも早めの行動が大切です。「困りごとに素早く対応してくれる」と入居者からの信頼を得られ、安心して住める物件として、長く住んでもらえることになります。
火災保険は適用される?
賃貸物件のオーナー様の多くは火災保険に加入されていると思います。
では、建物の漏水事故の場合、補償はされるのでしょうか。
基本的に、火災保険の対象となる事故の原因は、突発、偶然、外来に起因しているものとされています。経年劣化が原因の場合は、補償の対象外です。
一方、自然災害や人為的な被害は、対象となるケースもあり、例えば、台風の強風や局地的な豪雨で川などが氾濫し、建物に被害が生じてしまった場合は、保険の適用が可能な場合もあります。
老朽化によるもの、例えば建物外壁のつなぎ目や外壁サッシの隙間を埋めるシーリング材の性能低下によるもの、屋根や窓やドアの隙間からの吹き込みなどは適用されません。
※加入している保険により内容が異なる場合があります。詳しくは加入している保険会社へご確認ください。
経年劣化による漏水には、長期の修繕計画で備える。
建物の老朽化が進んでいる場合は、全体の改修工事をする必要があります。工事費を抑えるために、水が浸透しているであろう箇所や、面単位での部分改修を応急処置として実施する場合もありますが、あくまで応急処置の一環。処置をした箇所以外で漏水がまた発生することも考えられます。
修繕積立金の制度のない賃貸物件では、オーナーが修繕資金を準備しておく必要があります。「いつ頃・どのような」修繕が必要になるかをしっかり把握し、長期修繕計画を立てることが重要です。また、突然の漏水トラブルなどに慌てることがないように、定期的な点検なども必要です。
まとめ
マンション・アパートの賃貸経営において、漏水など建物のトラブルは大きなリスクとなり得ます。
2020年4月施工の民法改正では「賃貸借契約中に一部もしくは全部を使用できない期間は、使用ができなくなった部分の割合に応じて賃料が減額される」と定められました。トラブルによって修繕費用が掛かることに加え、家賃の減額という事態にもなり、オーナーにとっては痛い損失となります。
自然災害は防ぐことが難しいですが、経年による建物の傷みには、点検などで注意を払い備えておくことが大切です。
長い期間良好な収益が得られるよう、長期的な視点で修繕計画を立て賃貸経営をしていきましょう。